オタックNo.1シリーズ 001

 ウルトラセブン・幻の第12話『遊星より愛をこめて』を求めて

 子供の頃、ウルトラマンの怪獣大百科なんかを見ていると、ウルトラセブンの第12話の怪獣がとばされていることに気づき、「何でだろう?」といつも思っていた。

 そのうち「第12話は欠番となっております。」という文を当たり前のように見ることになる。何故、欠番なのかは、一切書いていない。ますます疑念が湧く。「一体どういうこっちゃ?」

 そんな疑問もすっかり忘れていた、中学生の時だったかな? 雑誌『TELEPAL』で、ウルトラセブンの幻の第12話を本放送当時<1967年(昭和42年)12月17日(日) 19:00〜19:30 TBS放映>に録画して今でも持っている人がいるといった内容の記事を見かける。「えっ?やっぱり第12話ってちゃんと放送されてたんや。」と改めて思った。ここでこの回は実相寺昭雄が監督で、ウルトラマンで科学特捜隊のフジアキコ隊員を演じていた桜井浩子さんが出演していることを知る。しかし、どうして欠番になったのかがわからない。

 その時、すごく見たいと思ったが、そのうちすっかり忘れていた。

 そして、高校三年のある日のことである。FMの某番組で自分の投稿したハガキが読まれた際に、そのDJのアナウンサーが、12話は原爆関係の表現上の問題で云々・・・サラッと言ったのだった。「そんな差し障りのある内容なのか?」 ますます興味が湧いた。

 高校卒業後、ある友達に第12話のカセットテープを連れから聴かされたという話を聞いた。なんでも『スペル星人』という宇宙人が出てくるのだと言う。(オレも聴きてえ〜!)と内心思ったのだが、もう二十歳にもなろうかというのに・・・という気恥ずかしさが自分をそこまでさせることはできなかった。

 しかし、すごく気にはなっていたのだ。何度、『探偵!ナイトスクープ』に依頼しようと思ったことか!(笑)

 そんなこんなで月日は流れ、去年のことである。ついに念願の第12話を見ることができたのだ! その経緯を詳しく紹介するのはちょっと差し障りがあるのでやめておくが、まあこの情報化時代を考えればおおよその察しはつくと思う。

 さて、ここでその感想を述べる前に明らかにしておかねばならないことがある。第12話が欠番になった理由だ。年月を経て、あちらこちらから12話に関する情報が少しずつこぼれ始めていた。オレはそれを1992年発行の別冊宝島『映画宝島 怪獣学・入門!』の中で『「幻の12話」を20年間追い続けた男』という記事の中で詳しい経緯を知った。コレが実に納得のいかない話だった。

 放送当初は何の問題もなかったらしい。その後2年ぐらいは普通に放送をしてたそうなのだ。

 ところが、昭和45年、小学館の『小学二年生』11月号の付録『怪獣決戦カード』にスペル星人のことを『ひばくせいじん』と説明していたことがきっかけで騒動が持ち上がる。このカードで遊んでいた男の子のお姉ちゃん(中学一年生)が、原爆被害者団体協議会の委員をつとめていた父親に見せたところ、その父親が小学館へ抗議の手紙を書き、その回答を待たずに朝日新聞が記事としてとりあげたために、事が大きくなってしまった。ちなみに、この一家は被爆者ではない。その後、「被爆者を怪獣扱いするのは、差別の助長につながる」と激しく糾弾された円谷プロは、この第12話を欠番とし、完全に闇へ葬ってしまったのである。

 おかしな話である。『ひばくせいじん』と表現したのは、円谷プロではない。だから、作品自体に差別意識があるのかどうかという部分を明確な論議がなされないままに、それこそくさいものにフタをしてしまった円谷プロというのは、そんなに自分たちの作った物にプライドを持てなかったのかと心底腹が立った。

 果たしてそれほど差別を感じさせるものなのか、是非自分の目で確かめたかった。

 おおかたのストーリーは次のようなものである。

 

 「連日、東京で数名の若い女性が突然倒れて、意識不明になるという事件が起きている。その女性達はなぜかみんな同じ型の腕時計を付けていた。さらにヘンなことに、制作会社のネームも入っていない。調べてみたところ、それは地球上に存在しない金属でできていた。そして、もうひとつの謎は亡くなった女性達の症状だった。血液が減少し、白血球が皆無に近くなっており、原爆病とよく似た症状なのだという。

 ウルトラ警備隊の分析結果で、謎の腕時計の金属はスペリウムだろうと推定された。その内部の微粒子は、人間の血液、それも白血球を結晶化させたものなのだという。地球上ではまだそんな技術は開発されていない。

 その腕時計を論議していたところに、アンヌが帰ってきた。山辺早苗(桜井浩子)という友人と会っていたのだが、見ればその早苗が付けていた腕時計と同じものがここにある。早苗は佐竹三郎という恋人から、プレゼントされたと言う。

 アンヌは、早苗と佐竹3人で待ち合わせをした。それとなく、その腕時計をどこで手に入れたのか聞いてみると、前にヨーロッパへ行った時に買ってきたと言う。ヨーロッパのどこかを問いただすと何やらハッキリしない。その時に、早苗の弟の伸一が学校で倒れたという電話が・・・。

 軽い脳貧血だった。その手にはあの腕時計が。伸一がイタズラで勝手に持ちだしていたのだった。

 その後、早苗と佐竹は公園のベンチで語り合う。後ろではカップルになりすまし、アンヌとモロボシ・ダンが尾行していた。早苗が腕時計を外している。佐竹が受け取って二人囁きあうそのわずかなスキをみて、後ろで同じ時計と取り替えた。

 二人が別れた後、佐竹を尾行するダンとアンヌ。やがて一軒の洋館にたどり着く。中をのぞいてみると、実験室があり、佐竹と三人ほどの青年がいる。

 佐竹が青年の一人に腕時計を渡すと、中の微粒子を試験管に入れ血液を分析する。「おい、この血はやけに純度が高いぞ。今まで集めた若い女の血液と比べるとすごくきれいだ」子供の血を吸えば、自分達の生命が助かると話している。

 彼らスペル星人は、スペリウム星でスペリウム爆弾の実験のため、その放射能で血液が著しく犯され、彼らの血に代わるものを探していたのだった。実験の結果、それが地球人の血だと言う。」

 この後は、正体を表し、巨大化して暴れまくるスペル星人との闘いになるわけだが、最後はウルトラセブンのアイスラッガーで、野望は真っ二つにされた。

 ラストは佐竹の恋人だった早苗にアンヌが「夢だったのよ」と言って慰めるのだが、早苗は「ううん、現実的だったわ。私、忘れない決して。地球人も他の星の人も同じように信じあえる日が来るまで。」と言った。そんな二人を見て、「そんな日はもう遠くない」と心の中で思うモロボシ・ダンなのだった。

 ザッとこんなもんである。

 オレが見た限り、被爆者を差別するような表現は全く見当たらなかった。

 ただ、考えられるとすれば、スペル星人のデザインを問題視したのかもしれない。このスペル星人のデザインは、全体的に白を基調としたノッペリとした感じの造形に、ケロイドを彷彿とさせる模様が入っている。そうしないと放射能汚染にあったという説得力がなかったであろうから、仕方ないとは思う。ただ、そのデザインとあいまって『ひばくせいじん』といったように紹介されてしまったからこそ、こういった問題になったと思わざるを得ない。だから誤解を招いたということで、欠番にしてしまったのではないだろうか。

 だが、明らかにこの話の裏には原・水爆によってもたらされた悲劇が感じ取れるし、警鐘を鳴らしているようにも思えた。だから、何も恥ずべき部分は無い!! この作品を安易に封印してしまったことを恥ずべきだ!! 

 欠番にする前になぜ、もっとしっかり議論をしなかったのか!? 徹底的に議論すれば良かったのだ。『ひばくせいじん』と紹介してしまった出版社ならともかく、なぜ制作会社がこの作品に後ろめたさを持つ必要があるのだ!? くさいものにはフタでは何の解決にもならない。暗に差別意識を認めたということになるではないか。円谷プロは自分達の作品に誇りを持って、世間と戦うべきだったと思う。子供が見る番組だからこそ、なおのこと良い機会ではないか。

 当時の社会背景とかイマイチわからないんで、これぐらいのことしか言えないのだが、少なくとも作品自体には何の問題もないし、隠す必要など全くない。だいたい、本放送当時に問題にしなかったのだから、後になってそんな目くじらをたてること自体がヘンである。糾弾した側はこの作品をちゃんとしっかり見たのか非常に疑わしい。

 こういう解決の仕方が一番日本人の悪いところだ。

 こんなウルトラセブンの第12話が裏ビデオとして高値で取引される時代はもう終わりにして、今こそ陽の当たる場所へ出すべきだと思う。


 上記のテキストを書いてからもうだいぶ経つけど、その間に『ウルトラセブン』のDVDのBOXセットが発売されたりもしながら、相変わらずこの12話だけは収録されていない・・・。果たしてこの作品が再び日の目を見る時はもう来ないのだろうか? 本当に勿体ないし、嘆かわしいばかりである。

冬木透の『ウルトラセブン ミュージックファイル』を聴きながら・・・   

2004.07.20

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