2002 FIFA WORLD CUPに何を見た?

 今回は是非、VANGELISの『ANTHEM "2002 FIFA World Cup Official Anthem"』をかけながら、読んで下さい。(笑)

 FIFA 2002ワールドカップが終わった。ミレニアムを迎えたというのに、暗い話題ばかりが続いていたが、今年6月の一ヶ月間は、そんなダウナーな気分を吹っ飛ばしてくれた。

 正直言って始まる前はここまで盛り上がるとは思っていなかったね。ワールドカップ(以下=W杯)っていうものが、日本でどれだけ認知されてるのか疑問やったから。オリンピックはお馴染やろうけどね。果たしてこのサッカーの世界大会というものが、地球全体で見るとオリンピックよりも見ている人達が多いっていうことをどれだけの人が知っていただろう?

 いざフタを開けてみれば、そんなことおかまいなしに盛り上がったね!日本各地で外国のチームを受け入れて、交流をはかりサポートしてきたことも大きかったように思う。中津江村のおばあさんなんか「外国からこんな所に来て何するの?」なんて言ってたけど(笑)、終わってみればカメルーンの旗を持ちながら「楽しかった」って言ってたもんなあ。

 しかし何と言っても日本代表の活躍ぶりが、あそこまで日本中を熱狂させたわけで。一体何処にこんな多くのサッカーファンが潜んでいたんだ!?って思った。にわかサッカーファン急増。

 ここで言っておくと、オレ自身そんなにサッカーについて詳しいわけではない。まあ野球よりかは詳しいかなっていう程度で、プロレスや格闘技に対する思い入れ度からしたら、サッカーファンなどと言うのはおこがましい。でもにわかサッカーファンよりは知ってるかな?(笑)

 なんせJリーグをほとんど見てないからねえ。日本代表チームの試合はけっこう見てるんやけど。Jリーグができた当初が一番よく見てたかなあ。ゴールデンタイムでよくやってて、プロ野球危うしなんて言われてた時代。それから徐々に見なくなってきてたんやけど、W杯ですよやっぱり。第15回アメリカ大会。忘れもしないあの「ドーハの悲劇」。ロスタイムでイラクにまさかの1点を入れられて、ほぼ手中に収めかけていた初のW杯予選突破が泡となって消えてしまったという悪夢・・・。アレを見ているのとそうでないのとでは、今回のW杯に対する思い入れも違うだろう。あの試合を見ていた日本人はみんな呆気にとられたハズ。「んなアホな!」って愕然としたもんなあ。あれ以来コーナーキックの場面になると、常に不安がよぎる。トラウマですよ。(苦笑) 今回も結局トルコ戦で悪夢を見たしねえ。

 そんなこともあって、今回Hリーグ予選でベルギーと引き分け、ロシアに歴史的勝利、チュニジアに快勝し、見事リーグ1位で決勝トーナメントに進出したとあっては、バカ騒ぎするのも無理はない。しかもホームやしね。

 ロシア戦以降、道頓堀川に飛び込んだ人数2008人。この時のミナミの夜はにぎやかやったねえ。仕事前に戎橋付近にくるとえらいことになっとった。だいぶ離れた場所からでも「ウウォーーー!」っていう声が聞こえてきた。御堂筋付近は警察だらけ。橋や商店街は完全に交通規制。橋の上は完全にTシャツの青!青!青! その間も橋から川へ飛び込む人は後を絶たなかったようだ。

 何なんやろうねえ?あの集団心理って。なぜ橋に集まりたがるのだろう?そして何故あんな大腸菌に溢れたヘドロだらけの川に飛び込むのか?オレはどんなに嬉しいことがあっても、そんなバカなことはしない。異臭を放ちながら電車やタクシーに乗って帰ったのだろうか?そうなんやろうねえ。(苦笑) ロシア戦、チュニジア戦で飛び込むのはまだわからんでもないが、トルコ戦の試合前から飛び込んでる奴等のアホさ加減はさっぱり理解できん。だって違うでしょ?ただ単にイチビってるだけやがな。この人達は本当のサッカーファンなのだろうか? 全く。グリコの看板も両手を上げて笑うてるっちゅうねん。

 結局、素っ裸で飛び込んだり(アホ中のアホ)、チケット問題で暴れたりしての逮捕者ってことで、ほとんど日本人やったよねえ。始まる前はあれだけフーリガン、フーリガンって言ってたのに。そういう暴力沙汰は無かった。ロシアでは日本に負けた時、暴動になったりしてたけどね。悲しいねえ。スポーツって平和的側面だけじゃないんやね。むしろ戦争かもしれないって思う時もある。それでも、そういうものを越えたプレイってものを見れた時に何かしら未来への可能性を見出せたような気がする。

 選手それぞれいろんな人生を背負ってるもんなあ。スポーツってそういう背景を知ってると、より一層楽しめるもんだ。技術と技術のぶつかり合いも面白いが、生き様と生き様のぶつかり合いも面白い。それがW杯のような大舞台となると、まさにドラマだ。

 今回こんなに身近に世界の一流プレイが見れたことは本当に良かったと思う。このW杯を見て、この大舞台を夢見てサッカーを始める子供達も多いだろうし、必ず将来プラスになる。

 ただ、優勝候補といわれたフランス、アルゼンチン、ポルトガルといった国々が予選で姿を消し、ジダンに代表されるようにケガや疲れで全く真価を発揮できなかったのを見ると残念に思う。特に経済危機にあるアルゼンチンには、母国に希望の光を与えるべく頑張って欲しかった。バスティトゥータの涙に勝負の非情さを見たね。

 この一方で誰もが予想しなかった韓国の快進撃! 予選でポルトガルを退け、イタリア、スペインを破りベスト4まで進出とは! イタリア戦は見てないんやけど、スペイン戦の時は明らかにミスジャッジに助けられとるよねえ。ほんまやったらアレは負けです。そりゃスペインからメチャクチャ抗議もくるっちゅうねん。ほんまに多かったよなあ、誤審。この誤審とチケット問題が今回のW杯最大の汚点じゃなかろうか。これを考えたらカメルーンの遅刻騒動なんてかわいいかわいい。(笑)

 韓国がベスト4に行けたのは誤審のおかげもあれど、確実に強くなったって言える。だから余計に日本がトルコに負けてベスト16止まりだったのが悔しくてならない。結果的にベスト4まで行った相手だったが、試合内容を見ても勝てない相手じゃなかった。少なくともあの時に関しては。だからもし日本が韓国と共にベスト4に入ってたら、もっともっと盛り上がっただろうなって思ってしまう。そうは甘くはなかったね。日本は大きなチャンスを逃してしまったよ。それでも開催国としての面子は立ったから良かったけどね。良かったけどトルコ戦・・・やっぱりアレはいかんよね。トルシエ監督は何を考えておったのか。アレックスの活躍がもっと見たかった。

 日本の試合に関しては個人的には初戦のベルギー戦がけっこう印象深い。最初先制点を入れられてヤバ〜くなった雰囲気を、すぐさま鈴木が1点を返し、ムードが悪くなるのを防いだところに、今回の日本のメンタル面の向上を見た気がしたんよね(その鈴木がベルギーに行くことになるのも面白い)。そういう面をトルコ戦でも見たかったけど。それでも、あのドーハの悲劇の頃に比べれば、日本のプレイの技術はかなり向上してる。'92年にオフトが初めて日本代表の外国人監督となって急激に進歩した感があるけど、翌年のJリーグ発足がやっぱりここまでのモノにしたわな。サッカー人口もかなり増えたし。オレが子供の頃なんて、サッカーと言えば釜本、ペレ、マラドーナぐらいしか知らなかったもんなあ(マラドーナと言えば、大会後の記者会見にて、汗だくで辛口トークを展開する肥満のオッサンを見て「誰だアイツは?」と思ったのはオレだけじゃないハズ。時の流れとは恐ろしい・・・)。

 とにかく日本が頑張ってくれたおかげで、束の間かもしれないが、日本中が元気になれた。トルコ戦の腑に落ちない負け方のせいで、なんかキレの悪いションベンみたいな感じになってしまったが、とりあえずありがとう!って言いたい。よくやったとは素直に言えない結果やけどね。まあ一つ勉強させてもらったってことなんやろうな。

 今回、地上波しか見てないんやけど、もうちょっと俯瞰した映像を見てみたかったね。FWが攻めてる時の味方のDFの様子なんかも見てみたいと思ったし、中田ヒデのサポート具合なんかにも、もっと注目して見てみたいと思ったもんなあ。フィールド全体の様子がわかりづらかったのが残念。この辺でスカイパーフェクTVは差別化をはかれてええんやろうけどね。

 結局、今回のW杯は仕事の都合もあって、それほどテレビ観戦してないようにも思う。ニュースでチェックすることの方が多かったな。だからベストバウトも選びにくいなあ。ベストバウトは選びにくいけど、MVPはオリバー・カーンにしておくか。やっぱりGKであれだけ注目を浴びるっていうのはすごいよ。ほんでまたキャラクターがいいよねえ。♪人を寄せつけない〜 オリー・カーン・・・ってな感じやん。(笑) あの顔で趣味は株式投資。チャリティー・イベントで、子供にも情けをかけない男、カーン。ゴールにボールを入れられるのはたとえ誰であろうと許せないのだそうな。(笑) だからあのカーンに失点させたアイルランドのロビー・キーンの得点は素晴らしかったよね!あの試合をベストバウトに挙げる人も多い。それにカーンと言えば何と言っても決勝戦終了後、ゴールのコーナーポストに持たれ座り込む姿・・・。あのシーンが個人的には一番残ってるね。哀愁漂う男。完璧主義者のわずかなミスによる失点。悔やみきれんやろうねえ。号泣したらしいし。カーンは実際MVPも獲得したけど、決勝前の投票の結果だそうで、順当に考えれば決勝で2得点をあげて、ブラジルを優勝に導いたロナウドやと思う。ただそれでも個人的にカーンをMVPやと思うのは、ロナウドの場合、リバウド、ロナウジーニョ、ロベルト・カルロス、カフーといった選手のサポートの存在があったことも大きいと思うのに対して、カーンってあまりにも孤高の人って感じがしたから。さっきも言ったようにGKの存在感というものをここまでアピールしたっていうことがすごいと思うんよね。

 勿論、ブラジル勢には随分楽しませてもらったし、折り鶴が舞う中、スタジアム全体と共に喜びを分かち合ったあのシーンはずっと残ってると思う。何と言ってもロナウドの大五郎ヘアは忘れようたって忘れられないだろう。(爆) ベッカムヘアより強烈なインパクト。これから何年経ってもあのヘアのシーンが流れるわけですな。(笑) 空港ではちょんまげのヅラをつけてるわ、横ではロナウジーニョが自前の太鼓を叩きながら終始ゴキゲンで、なんとも笑わしてくれる。そういえばロナウジーニョって退場くらった時もなぜか半笑いやったもんなあ。おまえ、なんでやねん!?(笑) こいつらに比べてリバウドはクールな印象があるけどね。それにしても、スゴかったわこの3人のプレイは。個人技が優れてることがいかに重要か思い知らされた気がしたわ。いつでも逆転できる可能性を持ってるもんねえ。

 後、今回は韓国との共催ということでも話題になったから、これについても触れておかんといかんよね。近くて遠い国、韓国。日本と韓国との歴史的背景を考えたら非常に意義深いことだ。それだけに韓国の反日感情を察するとこの大会が果たして成功するのだろうかっていう不安もあった。いろんなインタビューを聞いた限り、やっぱりその感情はまだかなり根強く残っている。それは日本でもそうだ。年寄りの中には韓国に対して良い感情を持っていない人達もたくさんいるようだし。

 そんな中でも世代が変わり、特に日本の若者たちはそういう歴史的背景にも無頓着なことから(苦笑)、アジアの同朋としてまたライバルとして、お隣の国を応援しようよっていう感覚が見受けられたように感じた。そんな韓国を応援してくれている日本の姿を見て、少しは韓国の人達にも心を開いて日本も応援しようっていう感覚が見られたようにも思えた。ほんの少しこのW杯を通じて歩み寄れる何かを感じれたような気がする。まだほんの少しなのかもしれないけどね。たしかに冷静に見たら「共催」と言うよりは「併催」って言った方が正解だったかもしれないけど、全然得る物が無かったとは思わないし、思いたくない。

 今回両国の違いとして強烈に感じたのがサポーターの力の入り具合。国民性の違いっておもいっきり出てたよなあ。さすが兵役のある韓国はもう全身全霊を韓国に捧げてますって風なのに、日本ときたら母国よりもイングランドやブラジルを応援するなんて人達も少なくなく、その愛国心の希薄さってものをまざまざと感じた。それを特に悪いとは言わないけどね。日本らしいと思った。思ったけど、応援ってことを考えたら圧倒的に負けやわね。トルコ戦の時かって韓国の応援に比べたら、日本の応援ってまだまだ必死さが足らないかなあって感じたし。そこにも韓国がベスト4だったのに対し、日本がベスト16止まりだったっていう部分があるかもしれない。今回はほんまにサポーター次第でムードも随分変わるもんだと痛感したなあ。それとホームの強みもね。

 4年後のドイツに向けて、日本のサッカーはどのように歩んでいくのだろうか? ジーコ・ジャパンの誕生。吉と出るか凶と出るか。個人的にはかなりジーコには期待してる。やってみたらメチャメチャやったりして。(笑) いずれにせよ、次回はかなり厳しい状況にあるやろうからねえ。中田英寿、小野伸二、稲本潤一、中村俊輔、鈴木隆行といった海外組はどんな活躍をしてくれるのか? より一層日本人プレイヤーの海外の活躍にも期待しつつ、Jリーグのレベルも上がってくれれば必ずや良い結果が出るんじゃないかな、と思いたい。

 それと気になるのが、にわかサッカーファンのその後。(笑) 彼らもまたどこに行っちゃうのか? また4年後だけ戻って来るのだろうか?(爆) あのW杯熱を引っ張っていくのもJリーガーの頑張り次第でしょう。幸いその効果もあって観客動員も上々のようやけどね。

 いやあ、こんなにサッカー談義に花が咲いた1カ月はなかったね。これからももう無いかもしれない。それぐらい楽しませてもらったわ。果たしてオレが生きている間に日本での開催があるのだろうか? 無いやろうなあ。

 今回、一番感じたのはサッカーやる奴には男前が多かったってことかな?(笑) だからあんなににわかサッカーファンが増えたのかもしれないぞ。天は二物を与えたなんて、なんだかとってもジェラシー。いいのか?こんな軽い締めで。(笑)

V.A.の『FEVER PITCH THE OFFICIAL MUSIC OF THE 2002 FIFA WORLD CUP』を聴きながら・・・   

2002.07.21

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