オレにソノ気はないんで・・・

 店で品切れが出たので、外に買い出しに行こうとした時のことである。エレベーターに乗ると、ピーター風ニューハーフらしき人が一人いる。

 「あ〜ら、かわいいわねえ」

 美川憲一バリに言うが早いか、オレの股間を触ろうとしてきた!

 ヤバイ!エレベーターの中で二人きり、この状況は!!と、思ったが、

 「あら?ここ何階?降りなくちゃ」

と、我に返ったそのニューハーフは、そそくさと降りて行った。

 ホッ、助かった。たぶん、うちの店の隣の店に行ったんやろう。オカマのママがやってる店に・・・(今は閉めてしまってもう無いが)。

 自慢になるかどうかもわからないが、男からの方が、女からよりも「男前」って言われることが多かったりする。それはそれで嬉しかったりするのだが、必要以上な好意は迷惑以外のナニモノでもない。

 数年前のことである。ここであまり詳しいシチュエーションは言えないが、M君という同い年の男がいた。初めて彼を見たとき「ひょっとして?いや、まさかなあ・・・」って思ったのは確かだ。容姿はMr.オクレ系なのだが、しゃべり方がやわらかく、声のトーンも高くて随分アンバランスな印象がした。

 そんな彼とは同い年ということもあって、そのうち親しくなり、よく行動を共にすることもあったのだが、いろいろ話を聞いたりしていると、やたらネガティヴな発言が目立つ。

 そのうち、いろいろツッコんで聞いていくと、どうも好きな人がいるらしい。しかもそれが男だと言う。カミングアウト!本人曰く、その彼にナニをどうこうされたりはしたことがあるらしい。でもまだ未体験だということだった。その彼に電話しても出てくれないと落ち込んでいたのだ。

 ????・・・・・電話しても出ないってのは、男だろうが女だろうが関わりたくないってことは同じだろう。

 「何でもそうやけど、自分がどうなりたいのかっていうことを考えて行動したら?」ってなことを、アドバイスしたように思う・・・。

 しかし、だ。どうも、おかしい。相手にしてもらえないと嘆いていた彼は、アッと言う間に違う男を好きになってしまったと言うのだ。今度の男はオレも知っているF君だったのだが、M君が言うには明らかに自分と同類だと言う。それはもう自信を持って言うのだった。「そうかあ?」確かにそのF君は当時はやっていたフェミ夫君ファッションをしていたのだが、オレにはどうしてもそうは見えなかった。

 さらにM君は、F君と仲の良かったH君まで同類だと言いきり、しかも自分の恋敵だとまで言う始末。これにはオレもさすがにおかしいと思ったが、M君は「○○君(オレのこと)はわからないと思うけど、けっこういっぱいいるんよ。同じにおいがするっていうか、僕にはわかるねん」などと自信満々。

 そういうものなのか? この日常生活において、オレが知らないだけで実は、当然のようにその辺でもゴロゴロと同性愛者が愛を育んでいるのか? そう思ってしまった。

 しかし、どう考えてもそれはおかしい。そんなに同性愛者がメジャーな存在なら、種族保存という観点からして、異常なことではないか。

 M君は、思い込みが激しい!! しかも、ネガティヴなことを言ってるわりには、行動派だった。F君にちょっとストーカーっぽいことをしちゃったりして・・・。

 ある日、一人暮らしのF君が風邪で倒れたと聞いたM君は、彼の部屋まで見舞いに行くのだが、先にH君が見舞いに行っていたのを知り、「僕、H君には勝たれへんわあ〜。すごいよH君のF君への気持ちは・・・」なんて嘆いていたっけ。

 この時ぐらいになると、彼の悩みを聞くのも正直言ってちょっとうんざりしていた。だって、何を言っても「でも〜」とネガティヴに切り返してくるんやもん。こっちもアドバイスするのがアホらしくなってくる。

 ここでハッキリ言おう。彼はホモである。バイではない。そしてそのことは自ずと周りにも知れることになるんやけど、F君もH君も後にそれを知って困ったような顔をしていた。勿論、彼らはホモではないし、それぞれ付きあっている彼女も実はいたのである。M君はネガティヴなことを言うくせに、実は根っこは、とても自分の都合の良いように思い込んで、しかもちゃんと行動に出るという恐るべきポジティヴ思考の持ち主だったのだ。

 そんな彼の悩みを聞いてあげられたのは、オレともう一人。後のオレの彼女だった。その彼女の部屋で三人でお好み焼きを作ってた時があったんよね。まあ、そんな中で「M君みたいな人、実際はそうおらへんで。」なんて話をしていた。それで、後片づけをしていた時のことである。テーブルの上の物を取っていると、ふとM君と顔が近づいた。目が合った。

「!?」M君の瞳孔が大きくなっている!!

 まさか!?と思ったが、イヤイヤそれはないそれはない!オレは自分の中にじわじわと広がっていく疑念を必死で打ち消そうとしていた。

 その日、家に帰り、もう寝ようかと思っていた頃、一本の電話が・・・。もしや・・・。

 「もしもし、Mですけど・・・」予感的中!もう言わんとしてることは見当が付いていた。やめてくれ、やめてくれと願いながら、オレは平静を装った。

 「何?どないしたん?」

 「あのね、実はね、僕ね・・・」受話器越しにモジモジしているのがわかる。ウウ〜。

 「何?」

 「僕ね・・・○○君のこと、好きになってしもてん・・・」うわっ!やっぱりやんけ!オイオイ・・・。なんだか頭がクラクラしてきた。

 「あの〜、それって友達としてじゃなくて、男が女を好きになるような意味で言うてんの?」

 念のために確認。M君はそのあと、オレの魅力についてとくと語ってくれた。(苦笑)

 ココはもうハッキリ言わないとシャレにならんと思ったんで、

 「あのねえ、わかってると思うけど、オレにソノ気はないんで。そういう風に言ってくれるのは、まあ嬉しいのは嬉しいけどね。でも、こればっかりはどうしようもないから。オレは女が好きやから。だから、今まで通り普通に友達としての付きあいしかできへんわ。」と、言ってやった。

 「うん・・・」元気なく電話を切るM君。しゃーないわな。オレだって困っちゃうがな。

 そんなことがあって、しばらくするとまた違う男にベクトルが向いてくれて、助かった。(笑)

 どうも、M君という人は、優しくされるとすぐにそっちへ気が向いちゃう惚れっぽいタイプのようだ。よく男が女の恋の悩みを聞いてあげているうちに、その二人ができちゃったなんてカップルの話を聞くけども・・・この場合はキツイっすよねえ。男からの告白・・・もう2度とゴメンやわ。(笑)

 もし、オレがこの時O.K.したとしたら、一体どんな付きあいになっておったのだろうか? M君はオレのことをオ○ペットにでもしていたのだろうか? 考えるだけでおぞましい!

 同性愛を完全に否定するつもりはない。人それぞれの事情ってものがあるやろうから、自分の枠組みだけで判断するのは良くないとは思っている。でも、いざ自分にふりかかってくると、さすがにちょっと待ってくれよって思うわなあ。

 それに、先ほども言ったが、種族保存ということを考えれば、異常なことではあるし、同性愛者が増える世界っていうのは、何かがおかしくなってる危険な印だとも思う。

 それでも、最近ではかつてほど、忌み嫌われる存在ではなくなってきた。多くの人達が自分に嘘をつくことなく生きるために、あらゆる行動を起こしてそのポジションを勝ちえてきたわけだ。

 このM君は、その後東京へと一人旅立って行った。果たして元気にやっているのだろうか? 今でもオレは、あの時のM君の目が頭から焼き付いていて離れない。ああいうまなざしは、女性だけでけっこうだ。(笑)

ALANIS MORISSETTEの『MTV UNPLUGGED』を聴きながら・・・   

2002.04.14

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