イントロダクション

 私にとって歌うことは、叫びであり、歓びであり、哀しみでもあり、最高の感情の表現手段だと思っている。最も自分らしい自分を出せる一瞬かもしれない。自分のピュアな感情を結晶化できるような感覚がそこにはある。逆に、そんな感覚を出しえない時の歌は死んでいると言っていいかもしれない。『言霊』が入っていないのだ。

 言葉に魂が宿るとき、歌にはとてつもない『説得力』が溢れ出る。それを司るのは『声』だ。人は、その声色に直接刺激を受け、そして感動する。声はナマモノだ。肉体と精神の両方が見事にシンクロしないと、最良の声は出ない。

 肉体に関しては、その最良の声を出すために最も重要なのが、『呼吸』だ。歌に適した呼吸法は一般的に腹式呼吸として知られている。これを先ず体得することが要求される。『呼吸』が発声の土台を作ってるわけでもあるのだから。

 音楽は『初めにリズムありき』というように、歌う際にも体にその曲のリズムを入れる必要がある。そのリズム上のBACK演奏のグルーヴを理解した上での『呼吸』が大事なのだ。そうやって歌におけるグルーヴ感も生まれる。ここで忘れてはならないのは、声なき部分、つまりイントロからエンディングまでブレスを含めて全てが「歌」なのだということ。歌を生かすも殺すも呼吸次第だということである。

 そして精神に関しては、感情を喚起させる『想像力』だ。感情を込めて歌うという作業には常にその詞に対する『イメージ』が必要となってくる。伝わる、伝わらないの鍵はここにある。その言葉を自分のモノにできるかどうか。しいてはその曲を自分のモノにできるかどうかということになるのだ。

 ただ、やみくもに感情の起伏に任せればいいというものではない。その曲を作品として成立させるためには、全体の流れを把握しておく必要がある。映画監督のように。歌のサビはいわばクライマックス。映画全体に起承転結という流れがあるならば、エンディングに向けて最高潮を迎えられるような演出をするのだ。それも無理のないよう、自然に。『イメージ』を描いて導いてあげるのだ。

 あるいは最高のSEXのように共に絶頂に達することができるよう、流れを作っていくような感じを想像すればいいだろう。相手と共に気持ち良くなるように持っていくことが大事なわけで、決して自分よがりになって勝手にイッちゃったりしてはいけない。絶頂に達するまでの駆け引きとして様々な技術を駆使する。その技術のバリエーションが豊富なほど、より楽しめるに違いない。勿論、その使い方もツボを押えていないと意味はないのだが。要するに、どこでどの技術を使うかという『センス』が必要だということ。

 この、技術の部分に関しては、これからこのコーナーで詳しくやっていくつもりだ。(注・・・歌の技術ですよ。あっちのと違うし。)

 ところで、星の数ほどある曲の中、誰かの心に引っ掛かる歌っていうのは、その歌い手の味が出ていないといけないと思うのだ。その人らしさ、つまり『個性』。または『個声』というべきか。しかし、生まれ持った声質というものは変えようが無いし、概して特徴のある声を持っているという人の方が少なかったりする。では、どういった部分で自分らしさを出していけば良いか・・・実はこれが私が最も苦悩し続けているテーマである。


 とりあえず今回は最初ということで、『歌』を追及し続けている私の『歌う』ということに対する考えを軽く明確にしておきました。「こう、ありたい!!」っていう目標ですな。まあ、理想でもあるわけですが、こうやってVISIONを持つことが大事なのです。そして、この中にあるキーワードは非常に重要なので、是非インプットしておいてもらいたいですね(自分に言い聞かせつつ)。

 まあ、『VOCAL道』ということで、お堅く始めてしもたけども、以後はもうちょっとくだけてもいいかなあと思っています。以上の事は誰かの受け売りではなくて、自分が歌を追及してきた過程で肌身に感じたこと。悲しいかな、それを頭ではわかっててもなかなか十分に力を発揮できなくて、もどかしいというのが現状ですね。

 しかし、大事なのはあらゆることに『気づく』ということだと思っています。例えば一つのことにどれだけ深く考えたり感じたりできるかっていう『感性』ってものすごく歌う上で大事だと思うんですよね。いろいろ『気づく』ことができるというのは、すなわちまだ自分は進化できる余地があるということなんですよ。求めれば求めるほどその奥の深さを思い知らされることになるのです。

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