プロレスラーのテーマ曲に物申す!

 プロレスや格闘技のイベントには欠かせない要素として、選手の入場テーマ曲というものがある。

 いやはや音楽とはその場の空気を一瞬にして変えてしまうすごい力があるものだ。この音楽が選手のカラーと見事に一致してこそ、その曲も選手と共に光ってくるようになる。不思議なもんやね。

 しかし!だ。最近の入場テーマ曲は一体なんだ!! 面白くない。

 順を追って書いていこうか。

 そもそもプロレスラーの入場テーマ曲の始まりといえば、あの『仮面貴族』または『千の顔を持つ男』と呼ばれた覆面レスラー、ミル・マスカラスがJIGSAWの『SKY HIGH』で入場するようになってからだと聞いている。あのマスカラスの華麗な空中殺法と『SKY HIGH』という曲が見事にマッチして、大ヒットしたのだった。

 このように昔はプロレスラーの個性とその曲が見事にマッチしていたケースが本当に多かった。

 例えば、ドリー・ファンクJr.とテリー・ファンクの兄弟コンビ、ザ・ファンクスのテーマ『スピニング・トーホールド』。演奏はクリエイション。今の人は『笑う犬の生活』でネプチューンがドリーとテリーというコントをやっていたから、そこでフレーズを聞いたことがあるのではないかな。♪生きてるってなんだろ、生きてるってなあに・・・っていうアレだ。勿論原曲にはあんな歌詞はついていない、インストの曲である。『スピニング・トーホールド』というのはザ・ファンクスの得意技で、かかとを持ち、自分の足を軸にして何度も回転しながら足関節を痛めつけるという技。この回転のリズムがこの曲の冒頭のフレーズと絶妙にマッチしていた。それにギターのフレーズもザ・ファンクスの出身地テキサスを思わせるにおいがプンプンとしていてかなりイカしている。

 他には、超獣ブルーザー・ブロディのテーマ曲『移民の歌』。原曲はLED ZEPPELINだったが、全日本プロレス来日時には石松元と彼のグループというバンドが演奏したものを使用。あのブロディが「ウォウッ!ウォウッ!ウォウッ!」と叫びながらチェーンを振り回し入場してくるシーンと『移民の歌』の野性的な曲調が見事にマッチ。

 不沈艦スタン・ハンセンのテーマ曲『SUNRISE』もプロレスファンならずとも耳にしたことがあるであろう名曲だ。原曲はスペクトラムの曲。会場使用曲は先ず冒頭で違う曲のイントロ部分(誰の何という曲かは忘れた)を使用し、テンガロンハットのハンセンを彷彿させる西部っぽい曲が流れていたかと思うと、スペクトラムの『MOTION』という曲の一部を効果音的に使用してつなぎ、あの『SUNRISE』をインストに編集したものが流れるという合体技だ。これがまた、スタン・ハンセンの突進力をおもいっきりイメージさせてくれる素晴らしい曲だ。この曲でハンセンがブルロープを振り回し入場してくると、会場が一気に盛り上がった。

 ヒール(悪役)の名曲といえばPINK FLOYDの『吹けよ風、呼べよ嵐』以外には考えられないというほどハマっていた。使用していたのは、アブドーラ・ザ・ブッチャー、タイガー・ジェット・シン、ザ・シークという史上三大悪役レスラー。シンVSシークの時は、この曲で同時に入場してきてたな。あの怪しげな曲調が彼らの悪役ぶりの説得力を増していた。

 日本のレスラーで見てみると、アントニオ猪木のテーマ曲『炎のファイター』は一般人にもかなり浸透していると思われる。モハメッド・アリとの対戦後、友情のしるしにプレゼントされたなんて言われているが・・・。とにかく猪木といえばあの曲以外考えられないだろう。アントニオ猪木=炎のファイター、イノキボンバイエなのである。テーマ曲というのはここまで定着して然るべきものなのだ。本来ならば。

 長州力のテーマ曲『パワー・ホール』なんかも曲が鳴り響いた瞬間、皆が長州コールだ。この有無を言わさぬ説得力なのだ。レスラーの個性と曲の持ち味とが相乗効果となり、定着していけばホンモノである。

 いくつか例を挙げてみたが、勿論この他にもたくさんある。

 アンドレ・ザ・ジャイアントのテーマ曲『ジャイアント・プレス』

 ザ・ロード・ウォリアーズのテーマ曲・BLACK SABBATHの『IRON MAN』

 前田日明のテーマ曲・CAMELの『CAPTURED』

 天龍源一郎のテーマ曲・高中正義の『THUNDER STORM』・・・・・・・ああ挙げだしたらキリがない。

 ただし、最近はどうだ。みんな似たような曲ばっかり使いやがって。しかもコロコロコロコロ替えやがる。最近のアニメソングやあるまいし。何を考えとんねん! レスラー同様、曲も無個性か!?

 それは現在Mr.プロレステーマとか言われている鈴木修の登場以後から一変してきた。テレ朝の『ワールド・プロレスリング』の音楽を担当していた彼が、曲も作っちゃえってなもんでやり始めたら受けが良かったのか、以後プロレス会場の音楽を次々と乗っ取っていったのだった。

 彼が音楽を作ることによって、それまであったプロレスラーのテーマ曲CDのように、いい加減なカバーアルバムではなく、オリジナル会場使用音源でのCDを発売できるようになった。しかし、昔からの曲コレクターとしてはこんなの何も嬉しくないのだ。あの1曲が聴きたいがために、そのアーティストのアルバムを買ってしまう・・・それほどに魅力があるものなのだ。本来ならば!!

 プロレスラーのテーマ曲は、同じ人間が何曲も何曲も手がけては、絶対にイケない!!

 理由は言うまでもなく「個性」の問題だ。プロレスラーがそれぞれ個性が必要なように曲側にも個性が絶対に必要なのだ。それを同じ人間が何曲も作ってたんじゃあ、そりゃあみんな似たり寄ったりになるっちゅうねん!?

 鈴木修という人の音楽を否定するわけじゃない。現に橋本真也のテーマ曲『爆勝宣言』は破壊王という橋本のイメージ通りしっかりと定着している。武藤敬司、あるいはザ・グレート・ムタがイメージ・チェンジする度に曲も変わっていたが、それでも鈴木氏はなかなかうまくやっていたと思う。それに鈴木氏だけではないからね、似たような曲を提供してるのは。

 でも、ハッキリ言って曲そのもののクオリティーが高いとはどうしても思えない。音もかなり安っぽいものが多いし、アルバムを買うたびに腹立ちを覚えた(VシネマのBGMみたい)。しかも新日系列のレーベル『WOOD BELL』が出しているものは、収録時間が短いくせに値段が高く、とてもやりきれない気持ちになる。

 また鈴木氏が新日系だけじゃなく、全日系まで手を出すようになってしまって本当にガッカリしてしまったという経緯もある。全日系は日テレということで『VAP』からCDがよく出ているが、日テレもテレ朝に追随した形である。これでますますプロレスラーのテーマ曲の無個性化に拍車がかかっていった。もう誰のテーマが鳴ったとしても一体誰が出てくるのかさっぱりわからない。

 曲が無個性な上に選手もコロコロテーマ曲を替えるので、なおさらわからない。ようやく定着してきたかと思えばまたコロッと替えてしまう。アホかと言いたい。

 佐々木健介も半年ぐらい前にテーマ曲が替わった。あの♪テイク・ザ・ドリ〜〜ム ライト・マイ・ファイヤ〜〜というフレーズが、とってもダサイダサイとは思っていたが、オレの中ではもうすっかり健介のテーマ曲として定着していたのに・・・。

 秋山凖の『SHADOW EXPLOSION』なんかも、ようやくカッコイイなと思えてきた矢先やったのに、新日本の東京ドーム大会参戦直前から『STERNNESS』に替えてしまった。今のところてんでピンとこない。

 オレの最も好きなレスラーである天龍源一郎もSWS移籍後はしばらく新テーマ曲(確か宇崎竜童作曲だったと思う)を使用していた。オレはもうそれがイヤでイヤで仕方なかった。どうしてもしっくりこなかったのだ。心なしかリング上のファイトもしっくりこないようにも見えてしまったもんや。けれど、ある時から『THUNDER STORM』に戻った。ようやく安心して見れるようになった。天龍自身、自分らしさが出る曲ってのを感覚的にわかってたんやろうなあ。

 そういう意味では、テーマ曲のダサさ日本一の獣神サンダー・ライガーはほんまにえらいね。(爆) ♪燃やせ燃やせ!怒りを燃やせ〜〜!・・・・あのアニメソングでないとライガーやないもんなあ、やっぱり。初めて聴いた時はオイオイと思ったけど、使い続けてると定着するもんだ。

 注目どころとしては、鈴木健想のテーマ曲だ。まわりがすっかり鈴木修色に染められてる中、FATBOY SLIMの『YA MAMA』を使い始めた。これには、ちゃんと自分のカラーを作っていこうとする彼の強いアピールを感じ取れる。まだイメージとハマっている感じはしないが、曲自体は非常にカッコイイ曲なので、早くしっくりくるように成長してほしい。

 最近では昔のレスラーの曲を新しいレスラーが使用するというケースも増えてきている。

 例えば、安田忠夫のテーマ曲『燃えろ荒鷲』は、あの坂口憲二の親父さん坂口征二のテーマ曲だ。和太鼓で始まるちょっと演歌チックなこの曲は、なんか日本人的な不器用ながらタフな男というイメージを彷彿させ、両者にもピッタリハマッている。

 小川直也がNWA世界ヘビー級チャンピオンになってから、あのNWA OF NWAと言えるリック・フレアー、ハーリー・レイスが使用していた『ギャラクシー・エクスプレス』で入場するようになった(今は違うが)。名曲が再び耳に入るようになるのは嬉しいことだった。

 PRIDEのイゴール・ボブチャンチンは、かつて新日マットを席巻したサルマン・ハシミコフらのロシア軍団の入場テーマ曲『RED SPECTACLES』を使用している。ロシアつながりで誰かがこの曲に決めたのだろう(後でわかったことだが、鈴木修氏の選曲らしい)。

 後は巨人レスラーがやって来ると、必ず『ジャイアント・プレス』が使われたりもする。

 これらのようなのも、ヘタにつまらない曲を使用するより効果的かなと思う。

 では、最近ならどんな曲が見事にハマっていると感じられるかというのも書いておこう。

 蝶野正洋のテーマ曲『CRASH』。もう最近とは言えないのかもしれないが、オレにとったらわりとまだ最近。(笑) 曲はROYAL HUNTということでハード・プログレだが、まさに黒の首領にピッタリではないか。圧倒的な存在感を醸し出す。

 そしてドン・フライのテーマ曲『Chaos B.C.』。曲はブラジルのメタル・バンドSEPULTURA。わりとインダストリアル・ロックな感じの曲で、いかにも最近のヒール外人の曲っていう雰囲気が出ていてカッコイイ。でも、PRIDEに出てから曲が替わってしまった。また新日本でやる時はなんとしても『Chaos B.C.』を使い続けてもらいたい。

 後は何と言っても桜庭和志のテーマ曲『SPEED TK RE-MIX (TK CLUB MIX)』も外せない。曲は言わずと知れたTKこと小室哲哉だ。あの映画『SPEED 2』のテーマ曲である。最初、桜庭がこの曲で入場してきたのを見た時は、UFCが日本で初めて行われ、桜庭が見事優勝した時やったな。この時はまだあの闘争本能のなさげな顔とちょっととんがったTK流ダンス・ミュージックのサウンドとが結びつかなかった。でも、やっぱりPRIDEでIQレスラーと呼ばれ、トップに昇り詰めるにしたがって、本人と曲との見事な相乗効果があったと思う。今ではあのイントロが流れると会場のボルテージが一気に上昇する。昨年のシウバとの雪辱戦の時はTKも大魔神と一緒にリングサイドで観戦していたが、自分が作った曲にゾクゾクしたそうだ。ちなみに、全日本の外人ジョニー・スミスは『SPEED TK RE-MIX (PARTY MIX)』を使用している。

 桜庭和志の最大のライバル、ヴァンダレイ・シウバのテーマ曲もカッコイイ。Darudeの『Sandstorm』。今流行りのトランスだ。特にこの曲はアグレッシヴでシウバの今にも跳びかからんとしている感じと非常にマッチしている。総合格闘技系やK-1では、こういったトランスで入場してくる選手も増えてきた。ただ、定着させられそうな選手はまだまだ少ない。そういう意味ではシウバとこの曲というのは、なかなかイイ感じなのではないだろうか。

 プロレスラーのテーマ曲についてアレコレ書いてきたが、K-1の方ももっとなんとかせえよって思っている。主に選手が自分で選曲してるらしいが、それ故にいつもコロコロ曲を替えてくる選手も多い。

 K-1の選手で一番しっくりくるのは、ピーター・アーツのテーマ曲『Misirlou』だろう。パルプ・フィクションのテーマ曲やね。昔はGUNS N' ROSESの『WELCOME TO THE JUNGLE』を使っとってんけどな。あの懐かしい全日外人タッグのカンナム・エキスプレスも使ってたね。

 後は故アンディ・フグのテーマ曲(ゲーリー・グッドリッジも使用)だったQUEENの『We Will Rock You』とかアーネスト・ホーストのテーマ曲であるDOUBLE KAWINAの『GRON TAPU』あたりか。

 フランシスコ・フィリョのテーマ曲『I'll Be Missing You』はPuff DaddyがTHE POLICEをカバーしたもんやが、高揚感がなくて物足りない。フィリョらしい曲とは思うが・・・。

 ミルコ・クロコップの入場テーマ曲はDuran Duranの『Wild Boys』だが、正直言って今の時代には古い。でもなんかクロコップらしさは感じられる。使い続けていればこそや。

 そろそろまとめよう。選手のみんなはもっと自分の入場テーマ曲というものを考えるべきだ。しかも、コロコロ替えるのではなくて、引退するまでその曲と付きあい続けるぐらいの気持ちで使用してほしいと思う。その曲=誰々っていうようにちゃんと代名詞になるようにね。

 イメージが大事な商売なんやから、その自分のイメージがしっかりと伝わるようでないといかんよ!!

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