地球を護る者(CHALLENGE OF THE PSIONICS FIGHTERS)/ KEITH EMERSON
KEITH EMERSON・・・・言わずと知れたプログレッシヴ・ロックバンド、EMERSON, LAKE & PALMERのキーボーディストだ。『Keyboard Magazine』の人気投票では、外国人キーボーディストではいつも一位の人気を誇っている。
彼のことを知ったのは、角川アニメ映画『幻魔大戦』の音楽を担当してのことである。
オレが生まれて初めて買ったレコードは、ローズマリー・バトラーの『光の天使』とヴァージンVSの『星空サイクリング』のEP2枚に、全日本プロレスのテーマ曲アルバム『ウエスタン・ラリアット』というLP1枚だ。これは中学の入学祝いでちょっと使わしてもらったんよね。その中のローズマリー・バトラー『光の天使』が『幻魔大戦』の主題歌やった。そして、B面がKEITH EMERSONのインスト曲『地球を護る者(CHALLENGE OF THE PSIONICS FIGHTERS)』やった。
『幻魔大戦』は映画館に見には行かなかったんやけども、この主題歌がテレビのCMとかラジオで聴くにつけ、どうにもこうにも欲しくなったんやね。ローズマリー・バトラーは『汚れた英雄』という角川映画の同名タイトル曲も歌っていて、この曲がオレが生まれて初めて「カッコいいなあ」と思った洋楽やった。「なんや、英語の歌でも聴けるやん!」って思わせてくれた。それもあってこの『光の天使』のレコードが欲しくなった。
レコードですよ。まだレコードの時代ですよ。レコードプレイヤーでEP盤をかけるのは、この日初めてだった。レコードってのは、実に神経を使う。ちゃんと手でのせてやらないといけないタイプのプレイヤーだったので、傷がいかないようにおそるおそる針をのせる。
「あらら・・・!?」 何か変だ。「あれ、おかしいな?こんな感じの曲やったっけ?」
そう思ってるうちに歌が始まってびっくり!!
「何や?おっさんが歌っとるで!?」 聞こえてきたのが男の声だったのである。
「どうゆうこっちゃ!?」何が何だかわからんかった。ひょっとしてアニメソングによくありがちなエセレコードか?と思ってジャケットを見ると、ちゃんとローズマリー・バトラーって書いてある。
「?????」・・・・・・しばらくして謎が解けた。回転数を間違えたのである。EP盤は45回転だ。それをいつもクラシックのLPばっかり聴いてたから、33回転になっとったんやね。それが、当然のことのようになっとったから、全然頭がそっちに行かなかったというわけ。
「おお〜、コレだあ〜。」美しいシンセの音色で始まる神々しいイントロに感動。そして正真正銘ローズマリー・バトラーの歌声。崇高な感じの曲だった。まさに『光の天使』。この曲を聴くと映画のCMで自由の女神がひび割れていくシーンがすぐさまよみがえってくる。
この『光の天使』の作曲もKEITH EMERSONだ。こんなふうに彼の曲を女性シンガーが歌うなんてことは非常に珍しいことである。
KEITH EMERSONは、主にクラシックとジャズの影響を受けて、ロック・キーボーディストになった人である。まあ、それ故にプログレの道へと進んだんやろうけどね。オレの場合、ジャズはともかく、クラシック的な要素でとっつきやすかったんやろうなあ。元々インスト派やったし。
そんなオレのシンセ・サウンド好きのハートをくすぐったのが、B面(カップリングとは言わないねんなあ)の『地球を護る者』。映画のクライマックスで使用されたBGMである。
『光の天使』と同様に、崇高な感じのする曲だ。それはたぶんバロックの影響が大きいんやろうねえ。パイプオルガンで弾いても、良さそうな感じの旋律だと思う。
そういうキレイな曲調に加えて、KEITH EMERSONらしい攻撃的なシンセ・フレーズもしっかりと聴ける。富田勲のようにスペイシーでなく、喜多郎のように荘厳でもなく、YMOのようにピコピコもしていない、また違ったシンセ・サウンドだった。オレはそんな攻撃的なシンセ・サウンドを奏でるKEITH EMERSONに一目置くようになったのだ。
その当時はかなりインパクトがあったんやが、今聴いてみるとちょっと薄っぺらく感じてしまう。80年代ってのはデジタル・シンセ全盛期。アナログ・シンセと違い、音圧があまりないので、キラキラしたキレイな音なのだが、線が細い。
もしオレが、今の時代に同じ年頃でこの曲を聴いたら、果たしてここまでインパクトを感じたかどうかはわからない。なんせ、シンセ・サウンドなんてそこらじゅうに溢れまくってるんやから。
でも、当時は、あのデジタル・シンセのエポック・メイキング的存在、YAMAHA『DX-7』、Roland『D-50』、KORG『M1』など、いろんなアーティスト達がこぞって使い始めた時期やったんで、なかなか新鮮やったんよ。
後に、EMERSON, LAKE & POWELLを聴き、改めてその攻撃的なシンセ・サウンドのフレーズに魅了され、ついにあのEMERSON, LAKE & PALMERのマニアックなプログレッシヴ・ロックの世界へと足を踏み込むことになるのだった。
収録アルバム『幻魔大戦 オリジナル・サウンドトラック』
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